20日は春分の日で、彼岸の中日です。
秋の秋分の日と同じで、昼の長さと、夜の長さが同じになります。
彼岸とは、かなたの岸、人々が煩悩や欲から開放された世界です。
インドや中国では、何百キロという川幅の大河があり、
対岸が見えない川が多くあります。
そこで、その向こうの岸には別の世界、理想や悟りの世界があると考えられていました。
彼岸はサンスクリット語では、「パーラム」。
渡ることは「イター」といい、これをつなぐと「パーラーミター」となり、
般若心経の一節の「波羅密多(はらみつた)」のことで、
彼岸へ渡る事を説いたものだそうです。
もともと彼岸とは「到彼岸」といって、動詞で、自らが川を渡って、
理想の世界に到達する。という行為を表しています。
反対に、此岸(しがん)とは、こちらの岸で、私達の住んでいる世界、
欲や煩悩にまみれた世界で、苦しみに満ちた迷いの世界です。
様々な苦悩を堪え忍ばなくてはならないこの世界を、
サンスクリット語では「サハー」といい、「忍土」という意味で、
これを中国語では「娑婆」と書き、世間の事を「しゃば」というのは
この言葉から来ています。
この時期、お墓参りをされる方が、非常に多いですね。
それは、この日をはさんで前後7日間を彼岸といい、
六波羅蜜(布施・持戒・忍辱・精進・禅定・智慧)の6つの修行を一日毎に行い、
これを完結した人が7日目に、川の向こう側にある
理想の世界に行くことができるということが信じられていました。
一番、仏様の世界と繋がりやすく、話が通じる7日間ということだそうです。
インドや中国では「彼岸」習慣はないそうです。
でも、日本では、聖徳太子の時代には、すでにこの彼岸の行事が行われている
文献が残っていて、太古の昔から、続いている行事であることは間違いないようです。
一雨ごとに春が近づいてきています。
確実に巡ってくる季節に、生かされていることに、
目を向けて、進んでいきたいと思います。